ジョージアの伝統的なワイン醸造法は2013年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました(和食も同時の登録です)。
欧州のワイナリーも注目するその醸造法とは、「クヴェブリ」と呼ばれる素焼きの壷を土中に埋め、その中でブドウを発酵させるというものです。
土の中は温度が一定なので、ワイン造りで最も大事な温度管理ができるわけです。
ジョージアのワイナリーを訪ね、収穫されたばかりのブドウがクヴェブリで醸されている様子を見せてもらいました。
クヴェブリのふたを外すと、まず、表面にブドウの皮や種が固まって、帽子のようになっています。 これを木の棒で突き崩してかき混ぜるのですが、下から次々に白い泡が盛り上がってくるのです。
発酵は、酵母の働きでブドウの中の糖がアルコールと炭酸ガスに変わるプロセスで、盛り上がってくる白い泡は炭酸ガスが盛んに発生していることを示すものです。
発酵中は1日に数度、棒でクヴェブリをかき回す力仕事が続きます。1、2週間で発酵が終わると、クヴェブリは石の蓋で覆われて封印されます。そして、ワインは翌年まで眠りにつくのです。大地と一体となったクヴェブリがゆりかごです。
そして、クヴェブリの封印が解かれる日がやってきます。新しいワインの誕生の瞬間です。
首都トビリシでは毎年5月、街を見下ろす山の上にあるムタツミンダ公園で新酒祭りが開かれます。ここには、ジョージア中のほとんどのワイナリーが参加し、市民にワインをふるまいます。